よくある質問(FAQ)
測温抵抗体
測温抵抗体の抵抗値不良、あるいは断線を生じたがその原因は?
1.強度的に頑丈そうな、シース測温抵抗体を使用し、他のセンサの校正用に使用。1年後に校正を行った。その結果、抵抗値が許容差を外れ、一部断線していた。
測温抵抗体はその構造上、抵抗素子部分は極めて繊細である。セラミック製の絶縁碍子内部に、数十μmの白金線がコイル状に巻かれて組み上げられており、過大な振動や衝撃を与える事で、抵抗値の変化を生じ、甚だしい場合は断線に至る事もある。
該当の事例では、校正時にセンサに金具を取付ており、その取付に子ネジを用いて直接シー スに固定していた。そのため、シース表面には明らかな凹みや傷があり、使用条件不適当である事が判明。使用方法を聞いても、シースを机に叩きつける様な置き方であり、取扱も雑であったため、抵抗値不良や断線が生じたと断定。
シース測温抵抗体の抵抗値不良や断線は、ほとんどが使用条件の不適である。シース熱電対 と同じような取扱では、先端部の抵抗素子に過大な負荷がかかり、異常を来す。過大な振動・衝撃は厳禁である。
写真:シース先端傷
写真:抵抗素子断線部拡大X線写真
2.シース測温抵抗体を納入したが、客先の取付時に断線した。引き取り調査した結果、先端の素子部分に二重くい込み継ぎ手を取り付けて、締め付けていることが判明。完全にシース測温抵抗体の使用方法を誤っていた。
前述の例と同様に、シース測温抵抗体の感温部分は抵抗素子が入っており、この部分に外力を与えることは絶対にしてはならないことである。締め付けられた写真を示す。
写真:シース先端部
さらに、継ぎ手と食い込んだフェルールを取り外して、拡大X線装置で断線部分を撮影。明らかにシースが変形し、セラミック製の抵抗素子が割れ、素線は断線している。
写真:素子断線部分
以上の様に、誤った使用方法によりシース測温抵抗体は容易に断線する。シース測温抵抗体の構造を理解して、正しい使い方をして戴く以外に対策は無い。
当社の取扱説明書には下記の様に記述しており、使用者や設計者に取扱説明書を読んで戴くことを期待する。
温度センサ取扱説明書抜粋