保護管式測温抵抗体

保護管式測温抵抗体は古くから使われている測温抵抗体で、測定対象の雰囲気から抵抗素子の素線を保護するために考えられた構造です。現在は、ほとんどの製品がシース形測温抵抗体に取って代わられましたが、一部の用途でシース形では製作が困難、あるいはコスト面での制約から保護管式が使用されています。その他に、特殊な用途用にプラスチック絶縁被覆測温抵抗体が使用されています。

RESIOPAKシース測温抵抗体の画像

白金測温抵抗体の原理

一般に金属の電気抵抗は温度により変化します。なかでも白金は、この関係が他の金属に比較して直線的で温度係数も大きく、温度測定用に適しています。白金は化学的、物理的にもすぐれた性質を持っており、工業的に高純度のものが得られやすく温度測定用抵抗素子として長期間、安定して使用することができます。特性はJISその他、外国規格等でも規格化されており、精度の高い温度測定が可能です。

構造

測温抵抗体は、抵抗素子、内部導線、絶縁チューブ、保護管、端子箱その他必要な取付金具などから構成されます。

  • 1.抵抗素子

    測温抵抗素子は当社製高精度セラミック素子(CERACOIL)を使用し、熱伝導の良いステンレス製フィンで、保護管内に固定した耐振性のすぐれた構造です。

  • 2.内部導線

    内部導線は抵抗素子と端子とを接続するもので、導線形式は3線式が標準品ですが他に2線式、4線式も製作しています。導線はニッケルを使用しています。

  • 3.絶縁

    内部導線の線間の絶縁、短絡防止に使用するもので低・中温用はガラスチューブ、高温用は碍子を使用しています。

  • 4.保護管

    抵抗素子、内部導線などを周囲の環境から保護するもので、これに取付金具および端子箱等を付けます。保護管は測温箇所によって、使用温度、雰囲気、目的等が異なるので、条件に適した材料や形状を選定する必要があります。

  • 5.端子箱および端子板

    測温抵抗体と外部導線とを接続する端子箱で、防滴のEL形(アルミダイカスト製)の他、使用目的に適した材質、形状のものを用意しております。

  • 6.取付金具

    測温抵抗体を測定箇所に取り付けるため保護管に取付金具を設けます。

上記の他に、保護管を用いずにプラスチック絶縁電線の先端に抵抗素子を同材質の樹脂で成形し埋め 込み、一体とした構造の製品があります。ポリエチレンで製作したものは最高使用温度80℃程度ですが、FEP(4-6弗化樹脂)で製作すると、-200~180℃程度まで使用可能な、温度センサとなります。放水路等の海水温度計や土中温度計に使用可能です。

測温抵抗体の種類

0℃における公称抵抗値 クラス 測定電流 R100/R0(抵抗比)
Pt100Ω(JPt100Ω) AA 2mA,1mA,0.5mA 1.3851(1.3916)
A
B
C

備考

  • R100は、100℃における抵抗素子の抵抗値
  • R0は、0℃における抵抗素子の抵抗値
  • JPt100は発止された。

温度に対する許容差と各国適用規格一覧

基本規格
公称抵抗値
クラス 許容差(℃) JIS C1604/IEC 60751 ASTM E1137
捲線形素子 薄膜形素子
温度範囲(℃)
Pt100Ω at 0℃
(R100/R0=1.3851)
AA ±〔0.1+0.0017|t|〕 -196~450 0~150
A ±〔0.15+0.002|t|〕 -196~450 -30~300
±〔0.13+0.0017|t|〕 -200~650
B ±〔0.3+0.005|t|〕 -196~600 -50~500
±〔0.25+0.0042|t|〕 -200~650
C ±〔0.6+0.01|t|〕 -196~600 -50~600

備考

  • 許容差とは抵抗素子の示す抵抗値を規準抵抗値表によって換算した値から測定温度|t|を引いた値の許容される誤差の最大限度をいう。
  • |t|は+、-の記号に無関係な温度(℃)で示される測定温度である。
  • 規格年度は最新版を適用する。

測温抵抗体の結線方式と色別

JISタイプ/IECタイプ

JISタイプ/IECタイプの画像

ASTMタイプ

ASTMタイプの画像

※ASTM規格にはダブルエレメントの規定がありません。ダブルエレメントについてはIEC規格に合わせています。

  • 2導線式:

    導線抵抗値が抵抗値に加算されるため、導線抵抗を小さくするか、導線抵抗をあらかじめ知っておく必要があります。比較的、高抵抗の場合に使用される以外はあまり使用されません。

  • 3導線式:

    導線抵抗3本のばらつきが精度に悪影響を与えるため長距離を伝送する場合注意が必要です。一般的に最も多く使用されます。

  • 4導線式:

    導線抵抗は精度に大きな影響を与えないので高精度での計測時に使用されます。一般的には定電流を流し、電位差により抵抗値を測定します。

測温抵抗体の使用温度範囲

記号 区分 使用温度範囲(℃)
L 低温用 -196~+100
N 常温用 -30~+200
M 中温用 0~350
H 高温用 0~600 ※1

※1JPt100は500℃までとする。

金属保護管の標準寸法

種類
( )内はJIS記号
材質記号 寸法(φ/mm) 最大長さ
(mm)
常用使用温度
限界(℃)※1
特長
外径 内径
304SS
(SUS304)
A 10 7 2000 900 耐熱・耐酸・耐アルカリに優れる。硫黄・還元ガスに弱い。
12 9
15 11 3950
316SS
(SUS316)
C 10 7 2000 900 耐熱・耐酸・耐アルカリは304SSと変わらないが、高温においての耐食性は優れている。
12 9
15 11 3950
316L SS
(SUS316L)
CL 12 9 2000 900 316SSのCの量を少なくしたもので、耐粒界腐食性材料である。
15 11 3950
TITANIUM T 15 11 3950 250 低温における耐食性は極めて優秀であるが、高温では酸化されてもろくなる。

※1常用使用温度限界はJIS及びメーカーカタログ等を参考に記載したもので、保証値ではありません。

基本モデル

RBN:端子箱付き測温抵抗体

最も基本的なモデルで、保護管と組み合わせて使用されます。

RBN:端子箱付き測温抵抗体の画像

RBW:屋外形金属保護管付き測温抵抗体

金属保護管に防滴形端子箱が付属したタイプで、屋外での一般的な環境での使用に適します。

RBW:屋外形金属保護管付き測温抵抗体の画像

RBG:耐圧防爆形金属保護管付き測温抵抗体

石油精製や石油化学プラント等爆発生のガスの発生する恐れのある、危険場所での使用に適します。

RBG:耐圧防爆形金属保護管付き測温抵抗体の画像

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