よくある質問(FAQ)

熱電対・補償導線

熱電対から計測器まで距離が離れているため、補償導線を使用するが、距離の制約と精度への影響は?

 発電所や大型化学プラント等の現場では、温度計測箇所から計器室まで数kmの距離になる場合がある。その場合の問題点は?

 熱電対回路はその原理から、使用する熱電対材料と両端の温度のみによって発生する熱起 電力は決定され、熱電対線の線経や長さによって特性が変わることはない。従って、測定部分が細く、途中が太くても影響はないし、また、薄板の熱電対でも測定精度上問題はない。
 但し、熱起電力を計測する計器側には制約があり、計器への入力抵抗に何Ωまでという制約が必ずある。そのため、発電所等の大規模なプラントでは補償導線 の線経を太くして長距離伝送を行っている。あるメーカの温度調節計では、熱電対の許容信号源抵抗は100Ω以下とされ、測温抵抗体の場合の許容配線抵抗は1線あたり10Ω以下としている。
 最近ではシース熱電対で外径の細いニーズが高まり、熱電対部分だけで高抵抗になるケースもある。例えば、化学プラントのリアクタ等ではφ0.5のシース 熱電対を10数m使用するため、その部分だけで1kΩを超える値となりそのままでは計測誤差が大きくなると言う問題が発生した事がある。その時の解決方法は、計器内部のバーンアウト検出回路をOFFにすることで、熱電対側への導線許容抵抗を増やして対応した。

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